工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

花粉症 × 板の反りの修正

来ました。何がって?、花粉症ですょ。
ボクは名前からして初めから背負ってますので (-。-;) いつかは来るだろうと覚悟してましたが、ついに一昨年、発症しました。
昨年は幸いにして発症しませんでしたが、本年は飛散量、昨年の数十倍といわれていただけあり、ついに数日前から症状悪化。
まだ治療せねばならないほどの重症ではありませんが、マスク族の仲間入りです。
どうもこのところ頻繁に数Km離れた土場を窓全開で車内に春風を入れながらの往復でしたので、これがいけなかったようです。
土場付近は赤銅色に染まった杉林が近くまで迫っていて、こりゃやばいかな、と警戒してはいたのですが。
知人などに療法を尋ねると、様々な答えが返ってきますが、ユニークなのは杉の葉を煎じて飲む、というものでした。


医療現場でも杉のエキスを咽喉に注ぐ、という新しい療法の臨床試験に取りかかっていて(日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科)、これはかなりの成果を挙げているようです。「舌下減感作療法」といいます
「毒を以て毒を制す」という奴です。
スギアレルゲンエキスという杉からの抽出エキスを段階的に皮下注射で体内に入れていくというやり方はこれまでもありましたが、副作用も多かったようですし、注射ですので定期的に通院しなければなりません。
しかしこの舌下減感作療法は自宅で簡単に処方できますし、副作用が少なく、めざましい効果を挙げているようです。
しかし残念ながら厚生省の認可が下り一般に使われるようになるのは数年先ですね。
また様々な民間療法もあるようですが、発酵ヨーグルトが人気ランキングではTopだそうです。  試してみようかな。
さて、しっかりマスクして、工場へ入ります。
幅1mという新たなテーブルの天板の木取りをしましたが、その中の2枚が少し反っていましたので、その修正についてお話しします。
(一般に「狂い直し」といった言い方をしますが、ボクは【狂う】という用語は用いません。差別用語になります)
以前にもどこかで記述しましたので、重なることも多いと思いますが勘弁を。
反ったままの木を真っ平らにするためにはかなりの量を削ることになり、元にあった厚みが大きく減ずることになります。(歩留まりが悪くなる、などと言います)
まず反る、ということの原因を考えてみます。
以前このブログでも記述しましたように、板は製材後、天然乾燥をさせるのですが、この乾燥過程で反ってしまうわけです。その理由には多くのことが重なり合って起こるものです。
まず考えられることは、原木に元々備わった性質(生育環境、DNA など)が製材されることで、その内部応力が解放され反るということが起こります。
次には乾燥工程の人為的な問題です。最も多いのは、土場の不等沈下などで水準が崩れることです。
また乾燥後の板の管理方法のまずさから起きることも考えられます。
原因も様々ですので、その反りを修正させるべきかどうか、という問題もあるでしょう。(内部応力により反りたがってるのだから、放置すべき、という論理も成立します)
しかしここでは反りの修正、ということに留めお話しします。
Fire
写真は今日の作業工程です。 42 t 300w 1.500l ほどの厚く幅広のブラックウォールナットでした。そのまま削ると30 t ほどにしかならないような大きな反りでしたが、修正の結果 38 t ほどに納まりそうです(数日シーズニングしてから削ります)。
<具体的には>
・反ったところに集中的に熱を加えます(ここではストーブで燃やした薪の炎と熱です)。
・ほどよく熱したら、テコなどを利用して反りと逆方向に瞬間的力を加える。
様子を見ながら、効果が出るまで数回試みる。
(ボリュームの小さな板であればすぐに効果が現れる)
・厚くて瞬間的に大きな力を加えることが難しい場合には、プレス、クランプなどを用い、一定時間圧力を加える(写真はこれです)
・その後自然冷却を待つ。
といったところです。
反り直し
いくつか注意点を加えます。
・板に水を加えると、湿潤の結果反張するということは経験上知っていらっしゃる方も多いでしょう。このやり方を応用すれば反りを修正できます。しかしこの方法では、外部から加えた水はいずれ発散することによって、また元の木阿弥です。ダメです。
・力を加えすぎるとベキッといって割れます。これは材種、厚みなどによってほどほどにしましょう。しかし加熱して曲がらないというのは、ほとんどが加熱が足りないんです。しっかり、じっくり加熱しましょう。
(熱源は薪、炭などが良いと思われます。夏はストーブをしまいますので、コールマンのストーブなどでやりますが、効果の程はイマイチですね。遠赤外線が奏功するのかな)
当地、静岡では木工所が多いところですが、古くからの工場には「焼き盤」というものがあります。
これはシンプルな手動式のプレスの定盤がフライパンのような機構になっていて、その下に釜があり、加熱できるようになっていて、反った板をこのプレス機に入れて加圧、加熱しながら反りを直す、という機械(?)です。
衣服にアイロン掛けする手法と同じです。
ところで、なぜ熱を加えることで曲がるのでしょう。
これは木の可塑性を利用しているのです。
木には乾燥させても内部には「結合水」という細胞膜内の水分が保有されているのですが、この「結合水」を熱で活性化させ、塑性変形を許すのです。
この「結合水」まで蒸発させるほどの加熱をしますと、木は死んでしまいますのでほどほどにしてくださいょ(木材特有の靱性が損なわれます)。
有限な資源の材木ですので、出来るだけ歩留まりを良くしてやってください。

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  • こんにちは〜。技術的な話を楽しくは意見しています。しかし、今年の花粉の量は尋常ではないようですね。こればっかりはスウェーデンにいて良かったとホッとしています。
    そうそう、ビヨンセはかなり有名ですよ。ブリットニー スピアーズみたいな感じかな。逆に僕はなぜか、さだまさしを聞いています(笑)。今まで全然、聞いた事が無かったんです。

  • 花粉症は主に日本の戦後における植林政策と、その後の杜撰な林業政策のよるものという側面も大きいので、特殊、日本の今日的現象ですね。
    さだまさし、( ?! )ですか。
    ikuruさんもストックホルムでは異邦人だということかな。
    見事な「ヨナ抜き音階」(ドレミファソラシドの4番目、7番目の音を抜いた音階で構成)での節回しですものね。古賀メロディーを初めとした日本歌謡の典型です。

  • 漢方薬を用いた花粉症治療

    こんにちわ【花粉症&アレルギーに負けるな!!】です漢方薬を用いた花粉症治療のイイ記事を見つけましたので引用させてもらいました(#^.^#)春先になると花粉症の症状を訴える方が増加します。この花粉症の三大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻ずまりで、人によっては、目の

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