工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

珈琲の木

珈琲の木
ひょんなことから珈琲の木を育てるようになってしまった。
日本の気候と土壌で果たして育成できるのかどうか、全く分からないのだが……。
これは先の伊勢丹新宿店での展示会の会期中、展示フロアと同じ階のコーヒーショップにおける展示企画者との交流の際、「開店一周年記念、毎朝先着10名様 ! 」ということで頂いたミニ観葉植物だった。
弱ったな、どうしたものか、と思ったが、会場で展示小物として活用すれば良いかと思い、ありがたく頂くことにしたのだった。
その後、順調に生育?してるかな。葉っぱの色も濃くなり、その数も増えているようだ。
しかしその幹はあくまでもひ弱そうであり、1番下には、まだ双葉が付いている状態。
緑の葉の色と真っ赤なカップがコーヒー産地、南国の色調を思わせ良いではないか。
庭の小さな畑に直植えするまでに育ってくれれば良いのだが。
まさか実を収穫しようなどとは努々考えていやしないが、珈琲数寄者としては、手元に置いておくのは悪いことではない。
品種を聞くのを失念していたな。キリマンジャロが好みなんだけれど。
     ふるさとの訛りなくせし友といて
          モカ珈琲はかくまでにがし
    寺山修司

IT社会下での図書館活用

ここ静岡でも日中の暑さが引く気配が無い。曼珠沙華が蕾を膨らませてきているというのに、そうです、彼岸がそこまで来ているというのに。
今日は暑い中、市内の製材所で、1枚、板を挽き割ってもらうため出掛けた。
製材所近くのなじみの蕎麦屋で新そばを頂き、調理場から出てきた亭主と四方山話。
先にエントリー紹介した、市内博物館で開かれている小川幸彦陶芸展についてなどが中心。
展示会に合わせ往時の知り合いが集まり、「偲ぶ会」を催したのだが、残念ながらボクは自身の展示会で遠方に逗留、欠席していたため、様子を知らせてくれたのだ。
その後、いくつか所用を済ませた後、隣町の図書館近くを通りかかったので、久々に立ち寄った。

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《展示会の夏》でした

ふうせんかずら1ふうせんかずら2

この夏は展示会が相次ぎ、忙しい日々を送ってきてしまった。
日曜日に横浜での椅子展も終了し、撤収も済ませ、昨日整理も終わった。ホッ。
さて、この秋は受注品の制作、その合間を縫っての新作の準備に取りかかって行かねばならない。
仲間では東奔西走で頻繁に展示会(グループ展、百貨店の催事など)をしている人もいるが、感心してしまう。
ボクの工房環境では、せいぜい個展は1年に1回、あるいは2年に1回、その間に百貨店催事などのグループ展が年2回ほど、といったところが良いところだろうか。

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木工機械導入の手法、番外編

ここ数週間、2個所から木工機械の処分についての相談を受けた。
年老いて、跡取りもいないので処分したい、ということではなく、いずれも中途での廃業だ。
一方の木工家とは交流もあったので起業からのいきさつはある程度知っているが、残念ながら思うような業務展開ができなくての廃業。
きれいな良い仕事をする職人だったので、全く惜しい限りだ。
ボクとは一回りも若い人で、既に半ば転業していたので、今後はこれに専念するようだ。
もう一方は知人からの情報だが、首都圏で椅子屋をしていたボクと同年代の2代目。こちらも業務展開に展望が拓けず、継続を断念するという。
自身の土地なので、しばらくは工場を解体して駐車場経営などをする予定だという。
いずれも自分たちに業務上の瑕疵があったわけではなく、昨今の伝統的なもの作り業界への逆風に抗いきれず廃業に追い込まれたものだ。無念だ。
さて、機械の処分は専門業者に依頼するのが一般的だ。
しかしこうした処分方法は買い取り価格が異常に低く抑えられるため、処分する側としては望ましいことではない。
またこうした中古機械を導入したいと望む木工所も、業者が間に入ることで高い買い物になってしまう。
そこでほとんどボランティアでの仲介をするボクのようなお人好しも必要となる。
機械のリスト、希望処分価格を出してもらい、これを希望者に斡旋する。
その後の価格交渉での仲介、機械の撤収から搬送、設置に至る調整などやや煩雑なことも含め労を執ることになる。
木工業という業種の起業は、その業務内容にもよるが工場設営のための資金、材木の手当、そして機械の導入など一定の開業資金が必要となる。
ここで問題にしている機械も相応の資金が必要だ。
もちろん木工機械というものは耐久性は高く、良い機械であれば数十年は使用に耐えられるものだ。したがって開業資金を抑えるためには中古機械の導入ということも一般に行われる。
むしろ昨今、この中古機械市場の概念も少々様変わりしているという側面もある。
木工業の産業としての衰退傾向は木工機械製造業にも及び、廃業するところも少なくない。
かつて職人からもてはやされたすばらしい機械も今や手に入れることが至難ということになる。中古機械もプレミア付きでの売買となることも少なくないようだ。
また若い起業者であれば、少しでも低価格な機械の導入を望むだろう。
こうした方々に廃業する人への橋渡しをし、ダイレクトに繋ぐことは、社会的、経済的な無駄を省くという意味からも有益だろう。
なお一つ、機械導入で自分の反省も含めてのことだが、資金がないからといって、低劣な機械を選択するということのないようアドバイスしておこう。
一度購入すれば廃業まで継続使用できるものであるので、長期的視野に立って、より良いものを選択し導入するようにしたいものだ。
業務経験が浅いとこうした鑑識眼も無いのが普通だろうから、先輩にアドバイスを受ける、信頼の置ける機械屋と仲良くなる、などといったことも必要となってこよう。
では、若い企業家に Good Luck !
         *   *   *
05年体制ともいうべき新たな政治体制が出現した
ファシズムが秋風の如く爽やかにやってきた
悲嘆にくれることなどラクチン。しっかりと現状を見据え、少しでも未来をたぐり寄せよう。
         *   *   *
 少し、希望を見いだすニュースを !
■ イスラエル軍がガザ地区から撤退、パレスチナ人が歓喜
12日、イスラエルの38年間にわたるガザ地区占領を終了。完全撤退。(参照
■ イタリア中部ファルージャからアッシジまでの24Kmの街道で11日、反戦、貧困撲滅などを訴える「平和の行進」があり、20万人が参加(asahi.com

初秋の山からの恵みが届く

栗きんとん
昨日、友人Tさんから秋の味覚が届けられた。
恵那 川上屋の「栗きんとん」。ムフフフ、美味いんだなこれが。
しっとりと滑らかに、栗本来の持ち味をそのまま菓子に仕上げている。
栗きんとん、といえばこれですわ。中津川の銘菓。
添加物無し、ほんの少量の砂糖だけ。初秋の山からの贈り物ですな。
Tさんの心遣いと、山の恵みと菓子職人に感謝して、言うこと無しで、本日のエントリーはここまで。

ステキな女性に乾杯 !

秋桜
今日は野暮用があり電車で出掛けたのでしたが、帰路の車内で大変気分が良くなることに出くわしたのでした。
それはごくありふれたことへの結末に起きたことでした。
発車まで数分残した電車に乗車しましたら席の8割方埋まっていましたが、座ることが出来ました。
ボクはすぐ鞄から文庫本を取り出ししおりのところから読書を始めたのです。通勤ということの必要のない仕事環境では、なかなか電車に揺られての読書という楽しみは得られず、こうしたことは貴重な時間ではあるのです。
間もなく発車の時間が来ましたが、続々と乗客が増えていることは読書していてもそれなりに感じ取ることは出来ました。
発車とともに少し大きく電車が揺れましたので、ふと周りを見回しましたら、数席離れたところで支柱に掴まり倒れまいと自身を支えている老女がいました。
年の頃70歳前後程の買い物帰りと思えるような出で立ちの人でした。
ためらうことなくこの女性に席を譲ったのは当然のことでした。
「すみませんね、よろしいんですか?」と返されましたが、どうぞと促したのです。
一礼して座ってくれました。

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9月は仕事精励月間に

アームチェア7月来の一連の展示会展開もほぼ終了して、本来の制作活動の再開だ。
夏場ということもあるが、不規則な生活が続いていたためか必ずしも体調は芳しくない。
秋の味覚を堪能し、工場での制作活動が始まれば、この変調もすぐ回復するだろう。
まずは展示会で依頼された受注品の設計、製作に取りかからねばならない。
また写真のアームチェアの手直しをしなければならない。
やや強度的に問題があるからだ。

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秋近し 展示会後の 残務整理

ふうせんかずら
1Week留守している間に、田舎の自宅周りでは初秋の気配が忍び寄っていた。
写真は自宅前菜園の「ふうせんかずら」(風船蔓)
数mmの小さな白い花と、種子が収まった風船状の袋。
この植物のタネは白黒ツートンカラーの不思議カラーだが、これはタネがはじけ飛んだときにあらためて。
蝉時雨もうるさいほどの虫の鳴き声に変わり、朝晩の空気は爽やかだ。
今朝未明に帰宅して、今日は終日後かたづけ。
家具の展示会の度ごとの搬送は、何某かの損傷が伴うもの。
百貨店の企画展示での撤収作業は、数時間でやり終えねばならず、どうしても搬入時の梱包態勢と同じようにはいかず杜撰なものにならざるを得ない。
撤収後の仕事は、この展示、梱包、搬送時に付いた損傷を改修することからだ。
また展示中の環境によっては無垢の木工家具特有の木部の痩せ、反り、機能障害といったことが伴うこともある。
終日過酷なエアコンに晒され、無垢の板は反張しようと動く。
これを改修することも大切なこと。

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「伊勢丹モダンクラフト展」開催中

クラフト展
残すところあと2日。首都圏の方々、どうぞ完売する前に(笑)伊勢丹新宿本館7F会場までお出掛け下さい。
ボクは写真のようなキャビネット(サイドボード)、フロアライト、座布団椅子、食卓、アームチェア、その他木工小品を揃えて待っています。
初回から出展していますが今年で7年目になります。
木工家具部門は出展者が年々減らされてきていますが、ボクは何とか食らいついています(笑)。
陶、ガラス、鉄、布、ジュエリー、コケ、紙、鞄、木 etc。それぞれ実力派のクラフトマン、工芸家たちです。
気に入っていただけるものが必ずや見つけることができるでしょう。
作家と直接制作裏話を聞けるのも楽しみの1つです。

台風一過の週末新宿

台風一過とはいかない風情の東京地方。
この時期の台風の過ぎ去った後は、赤とんぼが飛び交い秋の装いを強くしてくれるものだが、そうはなってくれない。湿潤で熱い空気が肌に不快だ。
明日からはまた夏の日差しが戻って来るというヤな予報。
この夏は展示会が重なり、また私事でも心騒がしい日々が続き、夏の快楽を謳歌する余裕は全くと言ってなかった。
秋を迎えれば少しは体調を整え、周囲を整備し、あらためて創作活動を開始したいと考えている。
椅子の新たな展開、小物の開発、など課題は累積しているので、受注されたものの制作と並行的に進めてかねばならない。
この度のようなクラフト展に臨むと、木の仕事以外の様々な工芸の世界に触れることで、あらたな制作意欲をかき立てられるということがあるが、今回も幾人かのクラフトマンの作品、作家に触れあうことで様々な示唆を受けることができたことは自身の作品の売り上げ以上の獲得物であったかも知れない。