工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

2020東京五輪強行はオリンピック終焉への弔鐘(6)〈追補あり〉

パラリンピック

パラリンピック開会式(毎日新聞)

Covid-19パンデミック下での 2020東京五輪 も終わり、デルタ株の猛威に晒される医療現場の逼迫状況が日を追うごとに厳しさを増す中、今度はパラリンピックの開幕となり、再びメダルラッシュがもたらす狂騒、あるいは「感動ポルノ」との相乗となり、コロナ禍を巡る最大の困難に立ち至っている現在の状況を覆い隠していくかのようです。

パラリンピック開催、本当に大丈夫なのか

パラリンピック(以後、「パラ」と略称)の感染症対策、行動ルールは、五輪と全く同じものとされ、関係者のみを「バブル方式」で囲い込み、選手は毎日、唾液による抗原定量検査を実施するとのこと。
陽性の判定が下されると、選手村に設置した「発熱外来」での正規のPCR検査に移行し、その結果、陽性が確定すると濃厚接触者を含め隔離することになっているようです。

現在、パラリンピック関係者の感染確認者数は219人と報道されていますが(朝日08/28)バブル方式とは言え、オリンピック大会でも選手村を抜け、街中へと繰り出した海外選手もあったようですし、また大会警備のために地方から派遣されてきた警察官の多くが感染確認され、彼らが地元に帰還し、その地域での感染を拡大させる感染源になっているようです。(NHK


菅政権は五輪開幕前に4度目の「緊急事態宣言」を発してきたものの、その後、人流は大きく抑制されるということもなく、「宣言」慣れ、あるいは政権への不信が重なり、一方での華々しく開催された五輪を横目に「行動自粛」などといっても若い年齢層からは反発を招くだけで、「宣言」は政府の期待とは裏腹にまったく奏功されていなかったという事実があります。

そうした人々の行動スタイルの冷厳なデータがあるというのに、あらたにまた「パラリンピック」の開催となれば、ますます人々の行動規範は緩み、感染状況の抑制どころか、ますます感染者を増大させ、医療の逼迫状況を完膚なきまで破綻させるモメントとして働いていく怖れさえあります。

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2020東京五輪強行はオリンピック終焉への弔鐘(5)

The Daily Beast Webサイトから

大坂なおみ への歪んだ視線

『The Daily Beast』という米国紙に「Olympic Boss Wanted Flame Lit by ‘Pure Japanese’ Ex-Yankee Player, Not Osaka」(森喜朗 前組織委会長は最終聖火ランナーは大坂なおみでは無く、[純粋な日本人](Pure Japanese)の松井秀喜にさせたかった)との記事が来ています。(08.04:こちら

大坂なおみが聖火最終走者のオファーを受けたのは、全豪OPENでグランドスラム4つ目のタイトルを獲得した3月頃だとされていますが、この森前会長が「わきまえない女性」発言で会長辞任へと追いやられ、これを機に松井秀喜案はお蔵入りされたといったような内容です(開会式 本番では最終ランナーの数組前、王貞治とともにトーチを掲げた長嶋茂雄の介護者として松井も顔を見せていましたね)。

確かに、日米ともに野球で大きな功績を残した松井秀喜は候補の対象として上げられても決しておかしくは無いですが、それを言うならばむしろ世界的にも著名な本塁打記録保持者の王貞治の方が適格という見方もできます。

ところで少し古い話しになりますが、1996アトランタ大会の開会式。1960ローマ五輪・ライトヘビー級王者 等々、輝かしい戦績を残した伝説のボクサー、カシアス・クレイ(モハメド・アリ)が最終点火者として表れた時は、重いパーキンソン病でままならない両手の震えを抑えながらの点火のシーンは本当に感動させられたものです。

世界的に知られた著名な引退後の選手がこの最終点火者を担うというのは比較的一般的なものですが、野球はまだまだアメリカとアジアの限られた国でのスポーツで、ゴジラがそれほどに国境を越えて知られているかと言えば、否定的にならざるを得ません。

最終的に決せられた大坂なおみですが、既に広く知られてるとおり、彼女は日本人の母とハイチ系アメリカ人の父を持ち、今やグランスラム4大大会を4つも制覇し、昨年はBlack Lives Matter 運動に積極的に関わる姿勢を示すなど、今ではスポーツ界を越え、世界的な社会現象とも言うべきアイコンに押し上げられていますので、押しも押されぬスポーツ選手として、最終点火者としてこれほど格好の人物はいなかったでしょう。


今大会に関しては、これまで語ってきたように、世界的イベント、オリンピックを開催するにふさわしい東京都なのか、日本なのか、との疑念があった中、開幕直前になり、大会組織関係者、式典関係者の相次ぐ辞任、解任といった苦々しい問題が大きくクロースアップされてしまい、いったいこのオリンピックはどうなってしまうのか、との困惑、疑念で重い空気に支配される中、こうした汚濁にまみれた空気を一掃させるべく、重い使命を担ったのが最終点火者・大坂なおみだったというわけです。

カシアス・クレイと同等とは言いませんが、彼もローマ五輪で獲得した金メダルを帰国後の黒人差別に怒り悲しみ川に投げ捨てたり、ベトナム戦争への徴兵拒否で世界タイトルを奪われるなど、黒人としての悲運、苦難を乗り越え、後年、最終点火者としての栄誉でしたが、大坂なおみの方はBLM運動に臆せずに積極参加するなど、カシアス・クレイ同様の評価軸に屹立していると言っても決して間違いでは無いと思います。

純粋な(ピュアな)日本人である松井秀喜くんにすべきだったという森喜朗の妄言など、通用するのは極東の島国の国境内という限定的なものに過ぎないのです。
そもそもピュアな日本人という概念そのものがおかしいでしょう。

日本人のルーツといっても、3〜5万年前に、アジア大陸、さらには南方諸島からはるばるやってきたホモササピエンスを元にすると言われ、紀元後も、ヤマトの支配下、朝鮮半島からの渡来人として多くの人々が渡り付き、定住してきたことは歴史書の教えるところです。

今の時代、純粋な(ピュアな)日本人、などとする概念など、無意味というより、むしろ悪質なイデロギーでしかないのです。
松井くんにとっても迷惑な話です。

「日本は天皇を中心とした神の国」と公言して批判を浴びた森喜朗という前近代的な化石のような人物の妄言を余所に、今の日本のスポーツ界にあっては、世界に名が響きわたる数少ないインパクトのある、ポジティヴなイメージが強いアイコンは誰あろう、大坂なおみなのです。

彼女に最終点火者を担ってもらうことで、この間のいくつもの実におぞましいスキャンダルにまみれた組織委の体質を払拭し、『ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と調和)』を掲げるにふさわしい出自を持つ彼女にクリーンアップさせようと狙ったのも肯ける話しです。

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2020東京五輪強行はオリンピック終焉への弔鐘(4)

産経新聞より

オリンピック開会式

Covid-19感染予防のためもあってか、各国入場セレモニーで間隔を大きく設けたことなどから予定の時間枠を越え4時間にもわたる開会式で、TVから離れようとしない子どもを寝かしつけねばと思いつつの深夜におよぶ観覧だったかもしれませんね。

大会関係者としては開催そのものへの批判、開会式を含め無観客という決断などから、式典の構成等悩ましいところもあったと思いますが、予定時間枠を越えるなど、感染予防に配慮された構成とも思えない、あるいは開幕直前になった式典関係者の相次ぐ辞任、解任騒ぎから多少は自粛する意志を示す意味から、短縮したモードで行うといった判断もあり得たはずですが、そこは全く無かったようです。

式典内容もショボかった。
パフォーマンスも大工の真似事、響かないタップダンス、意味不明なTVクルー等々、チマチマした小ネタの芸を繋ぎ合わせたもので、あれで165億円(閉会式と合わせた予算)もの経費を掛けたのかと思わされ、ビートたけしの「税金からいくらか出してる。金返せよ!」との怒りも当然かと思います。(中日:0725

一方、幾度も繰り返された競技場屋上からの花火の華やかさは、まさに祝祭空間を演ずるものでした。
競技場周辺にはかなりの数のギャラリーが集結していたようで、TVクルーはともかくも、彼らにとっては自粛モードとは裏腹のコロナ禍などどこ吹く風の祝祭の時空そのものであったのでしょう。

こうして祝祭空間を演出しているのかと思えば、他方では冴えない学芸会。

競技場周辺に三密よろしく集結した人の波を観れば、もはや、開場してやり、中へ入れてやったほうが感染予防になったのではと思うほどでした。
中には五輪に反対する市民らもかなりの数で集まっていたようですが、彼らも同じように三密避け、場内に入れてやり、集まった各国のアスリートらに、日本にも五輪に反対する意識ある市民らがいるんだということを視覚化させてやるのも一興かと思ったほどです。苦笑

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2020東京五輪強行はオリンピック終焉への弔鐘(3)

2020東京五輪は1年延期の末、今や来週末には開幕という差し迫った状況です。

これまでも触れてきたように、多くの識者、メディア、SNS、そしてあらゆる世論調査においても、開催そのものへの疑義が出されている現状は、この開催間際になっても変わりは無いようです。
これはDOVID-19パンデミックのど真ん中での開催になろうとしているからに他なりません。

7月8日 菅首相の記者会見。4度目の「緊急事態宣言」発出

7月8日の菅首相による記者会見では、この新型コロナウイルスの蔓延が続いてきた昨年初から500日余りで何と4度目の「緊急事態宣言」が発出されましたね。

首都圏中心に発出されている「まん延防止重点措置」終了を経た今月12日から8月22日までの6週間です。

これは前回の「緊急事態宣言」解除(6月21日)から、わずかに3週間しか経っていませんし、またこれまでは「緊急事態宣言」の期間としては3週間から4週間ほどの単位でしたが、今回はいわゆるお盆が明けるまでの6週間という比較的長期のものになっています。

そして…、この「緊急事態宣言」のまさにど真ん中でオリンピックが開催されようとしているということです。
これには開いた口が塞がらないというのか、言葉を失う、いわば絶対矛盾としか言いようのない事態でしょう。

首相曰く「緊急事態宣言の下で、異例の開催となった。新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ世界が一つになれること、そして全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを東京から発信をしたい」

菅首相はこれまで「人類がコロナに打ち勝った証しとしての東京五輪」を掲げ、どれだけ感染状況が厳しかろうがオリンピック東京大会は何が何でも開催ありき、と強弁してきたところですが、これが残念ながら虚妄なものとなってしまったことは明らかだったようで、「全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけること」などと、「コロナに負けつつある」ことを糊塗し、これに変わり、上滑りの詭弁を弄するものにさらりと切り換えてきたのです。
多くの方のイメージとしては、「人類がコロナに“敗北した証し”としてのムチャクチャ東京五輪」になろうとしているというのが実態でしょう。

菅首相が自信満々で五輪の準備を進めてきた最大の根拠となるものはワクチン接種でした。
「一日100万回」などと河野担当大臣に語らせ、事実、欧米とは数周遅れのTopランナー如くに、闇雲に各自治体に指令を出し、医療従事者から、高齢者向けの接種を進め、この7月で終えようとしているのです。

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2020東京五輪強行はオリンピック終焉への弔鐘(2)

緊急事態宣言下での開催?

06/17、菅首相は沖縄を除く9都道府県の宣言解除についての記者会見を行った。現在はこれがすべて解除され、21日から東京、北海道、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の7都道府県では〈まん延防止等重点措置〉へと移行された状況にあります。
記者会見を行った17日の東京の新規感染者数は452人と、「ステージ4(感染爆発)」に限りなく近いのに、です。
そして今日に至るまで、大きく減ずること無く、いわゆる「下げ止まり」の状況にあるようです。

そして本日、6月23日の東京都の感染確認は619人で、4日連続で前週同曜日を上回る感染確認という状況だそうです。(NHK
この状況からは、今や、下げ止まりから一転、再拡大へと向かいつつあるのではとの懸念さえ現実味を帯びていているかのよう…。

東洋経済新聞

また、今後の感染を予測する上で有為な指標とされている「実効再生産数」を観ますと、むしろ上昇しつつあることが窺えるのです(東洋経済・新型コロナウイルス国内感染の状況(東京都))。

前回3月の〈緊急事態宣言〉解除では大阪に典型的でしたが、明かなリバウンドが起き、その後1ヶ月余りで再宣言せざるを得ない状況になったことは記憶に新しいところです。

今回はこの時より感染者数は120名も多く、いかに「まん延防止等重点措置」に切り換え、規制を掛けるとは言いつつも、午後7時までは酒類が提供されることとなり、感染防止策は大きく緩みます。
たぶん、前回以上のリバウンドが避けられないのでは無いのでしょうか。

このまま開催に突入し、五輪大会開催中にクラスターが発生したとしても、それらが発症し、問題になるのは、大会終了後ということになれば、当然にも責任問題となるでしょうが、組織委は解散し、首相の任期も終わりを迎えるという日程なのです。

さて、本筋に戻り、前回からの続きです。

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2020東京五輪強行はオリンピック終焉への弔鐘

世界的なCovid-19パンデミック状況下、IOCを先頭として、我らが日本政府、組織委、JOCは、8割の人々が、ぜひ止めて欲しい、せめて延期を!と祈るような思いで反対の声を上げるという大変厳しい状況に立ち至ってるにもかかわらず、開幕まで1月半余りとなった今も、東京五輪へと突き進もうとしているようです。

このトンデモ無い五輪暴走、いや五輪ファッショとも形容せざるを得ない状況はスポーツを愛する私たちにとって、いったい何を意味しているのか、少し冷静に考えてみなければと思います。

これは一義的にはCovid-19、新型コロナウイルスという新規感染症。つまり外部要因からの翻弄と言えるものであることは当然ですが、どうも、伝えられてきているこの間の五輪を巡る様々な不可解な事案、そしてIOC 他、組織委、日本政府の強引なまでの開催強硬は、オリンピックゲームというイベントそのものの闇をこのコロナ禍が白日の下に晒しつつあるように思えてなりません。

私はスポーツはもちろん好きです。今でこそTV観戦という情けない接し方ですが、高校まではサッカーボールを蹴っていましたし、社会人になってからは職場代表の駅伝選手として選出されたりもしたもの。
身体を動かし、汗を流し、他者とゲームを争う、この爽快さは身体が悦ぶことを伴うだけに、何にも代えがたい快楽をもたらすことは誰しもが体感できるものです。


先頃開催された五輪代表最終選考会でもある「水泳日本選手権」は大いに湧きました。

100mバタフライ、100m自由形、50mバタフライ、そして締めくくりの50m自由形と、4種目に優勝した池江璃花子選手の驚異的な活躍は多くの人をTVモニターを前に釘付けにし、涙と共に大きな拍手に包まれました。

白血病に倒れたのが一昨年。選手生活の継続すら危ぶまれたと言うのに、過酷な治療と闘病を乗り越えた驚異的な回復力は周囲の期待を超え、彼女自身の言葉からも本人も驚くばかりの復活劇だったのは間違い無いのでしょう。

このエポックは、彼女に競技する場を与えてやりたい、すばらしいパフォーマンスをみて感激したい、との思いに駆られた方も多いはずで「五輪反対派」を覚醒させるに十分なものと思えたものです。

またこの池江選手の活躍に対し「池江選手こそ五輪反対の立場に立って欲しい」などとする「反対派」からの声が上がり、彼女自身を大きな困惑に巻き込む形になるというサブストーリーまで派生させましたが、それも含め、開催強硬派は勢いづくものだったかもしれません。

彼女のような、いわば孤高のスポーツ選手、スーパーエリートアスリートの闘いに私たちは感動し、人間の限りない力の発揮と、努力の姿にエールを送り、非日常の祝祭的時空を謳歌するもののようです。

オリンピックはこうしたスポーツ選手にとり4年に1度の晴れ舞台。これに挑み、チャンスを我がものとして代表選考を勝ち抜き、スタート台に立つのです。

ただ、現実的なオリンピックはそうしたあり得べきピュアな姿の影に、金と欲望、国家の見栄と栄誉が渦巻く、いわばイベント資本主義としての強欲とそれゆえの矛盾の塊のようなものでもあるのです。

ましてや、今大会は1年半前からのCovid-19パンデミックによる社会的疲弊のど真ん中で開催されるという、オリンピック史上においても稀有な事例となっており、開催するにしても、これを断念するにしても、私たちとオリンピックの関係というものを、あらためて深く問い直す契機になっていますし、その意味では良い機会だと思うのです。

ラグビー元日本代表・平尾剛氏の提言

数日前、池江選手と同じく、スポーツ選手だった、ラグビー元日本代表・平尾剛氏(神戸親和女子大教授)のインタビュー記事がありました。
これは私の思いと通底する内容でもあり、意を強くしたものです。

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BOSCH 電動工具は老いて ますます

BOSCH 振動ドリル 1182-7
BOSCH 振動ドリル 1182-7

ジグソーでの切削加工が必要となり[1]、systainer® から取り出し、いつものようにブレードを装着しようとしたが、これが上手くいかない。

うちのジグソー、BOSCH GST 60PBE は主軸上部から長いマイナスドライバーでアプローチし、固定させるという旧型のタイプ(現在のブレード装着方式はレバー操作でのワンタッチに進化しているようだ)。

この主軸の管を覗き見れば、なんと、ブレードを固定する部位のパーツが脱落しただの空洞になっているではないか。
はて、困った。
前回使用してからかなりの月日が経つので、この小さなパーツを探し出すのは極めて困難。
systainer®の底から、考えられるあらゆる箇所を探したが、その努力は実らなかった。

このジグソーは工房起業の前年に購入したもので、つまり稼働年数は30年を越えるツワモノ。
起業に向け、様々な機械、そして電動工具を整備しつつあったものの中の1つ。

当時は今のようなネット販売などあるはずもなく、地域のBOSCH正規代理店を探し、Pro向け青ボデーの13mm 振動ドリルや、トリマーなどとともに求めたものの1つ。

トリマーはBaseを1度交換し使い続けたものだが、さすがに引退させ、角ノミ、外箱研磨用の砥石を装着させ、専用高速ドリルとして使い回している。

他方、ジグソーと、振動ドリルは未だに現役バリバリである。

これまでカーボンブラシの交換を求められることもなく、時間経過は長いものの、実質的な稼働時間は少なかったためか、まだまだ使用に耐えられるというわけだ。
今は知らないが、当時、ジグソーと言えば、BOSCHに限る、といった定評で、事実、大変快適に使い続けてきた逸品だ。

さっそくBOSCHジャパンのカスタマーセンターに相談掛けた。

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❖ 脚注
  1. ジグソーの活用事例は曲線の切断です。通常、この曲線切断加工はバンドソーという大型機械で行うのが基本です。ただ、テーブルの甲板のようなボリュームの大きな被加工材の場合などは、このジグソーを用いるのが合理的な方法となります。 []

3.11から10年 原発事故収拾にはほど遠い中、女川原発が再稼働へと

先週末、NHK BSでは東日本大震災の当時の録画を再編集した番組がいくつか放映され、ご覧になった方も多いと思う。10年を1つの節目とする振り返りと、その後の被災地復興の現状などを編集したもの。

私はメンタル的には耐性がある方だと自負していたが、津波などのシーンではさすがに目をそらしたくなるのはまだしも、さらに過酷なシーンでは呼吸は荒くなるばかりでもはや泣くしかなかった。
歳のせいでもあるまいが、そうした衝撃への自身の怯えに少し愕然とするところもあり、複雑な思いで視ていた。

被災地から遠く離れた地に暮らす私のようなものでさえ、こうした反応であれば、被災当事者らの受け止めはまた次元の異なる、複雑で鈍重なものがあったろうことは容易に想像できる。

未だに行方不明のままで家族のご遺体が戻ってこない人、あるいは震災後に関連死といわれるような不幸な最期を迎えた人の家族、復興住宅に移住し、生活再建の新たな人生を模索しつつも、それまでのコミュニティとの決別から不安な日々を送る人々、そのおかれた立場から、様々な思いでこの10年を迎えていることだろう。

宮城県・村井知事による女川原発再稼働の同意

昨年11月、宮城県、村井嘉浩知事は東北電力女川原子力発電所2号機の再稼働に同意することを表明した。

女川原発
女川原発 共同通信からお借りしました、謝謝!

女川町、石巻市、2つの原発立地の首長の同意を取り付けてのものだった。

この女川原発は宮城県石巻市に隣接するリアス式海岸の牡鹿半島、東端、首根っこの岬に立地する、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型の原発だ。

私は3.11直後、他の2名と供に緊急災害ボランティアとして石巻市に入っており、当然にも石巻在住期間、この女川原発の被災状況が心配でならなかった。
その後も、その年の秋、三陸沿岸を釜石から仙台へと南下し、被災状況をこの眼に焼き付けるドライブを敢行する際、近くを通ったりと、何かと身近に感じる土地でもある。

さらに自身に引き寄せて言えば、今ではめったに訪れることも無くなってはいるが、この女川から西に40km地点の多賀城市は私の生地でもある。そこには現在も従兄弟らが居住している。

経産省主導と言われた安倍政権が、国のエネルギー基本政策として、原発を「ベースロード電源」として位置づけているところから、この原発再稼働は常に狙ってきているだろうことは知っていた。
3.11から10年を前にして、福島第一原子力発電所(以下 F1と略記)の廃炉への道筋は当初計画が次々と先延ばしされ、未だにメルトダウン、メルトスルーした核燃料・溶け堕ちたデブリへのアプローチの方法すら見えないこの段階での再稼働の蠢きは悪い冗談にしか思えない。

しかも、まさか被災地の女川がいち早く再稼働へ向けて動き出すなどとは思いもしなかっただけに驚いた。

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クラロウォールナットのこたつ

クラロウォールナットのこたつ

かなり遠方のお若い方からのオーダーで、何と、クラロウォールナットで「こたつ」を制作して欲しい、とのこと。

ちょっと、いや、かなり異質な類のお話だったわけですが、この半年前ほど前、同じ人にマホガニーのデスクを納めたところでしたので、お若い方とは言え、冷やかしでは無いとの確信を持っての受注でしたが、これは困ったな、というのが最初の印象。

この困惑は他でも無く、コタツのヒーターを甲板の片面だけ長時間にわたって晒すことへのリスクについてです。

過去何度か、こうした受注を頂いた事があるのですが、多くの場合、銘木の厚突きのランバーコア材などで甲板を構成し、ここに框を巡らせる、額縁方式を提案させていただくといった方式が主流でした。

つまり、無垢材を甲板とした場合の熱対策は至難であり、これを回避するための額縁方式であり、ランバーコア材の活用というわけです。

ただ今回の場合、クラロウォールナットで、というあたりに、相当のこだわりがあるだろうことは明白であり、この話に乗ることになったのです。

クラロウォールナットで家具を制作している国内の家具屋は数軒あるようですが、こうした特殊なものを望みうる品質で作り上げるという面倒な事ができるのは、たぶんうち以外では無いだろうとの思いもありましたしね。

こたつ機能を用いる時期は冬季だけで、残る春、夏、秋は座卓として用いることとなるのですが、発注者は事務机として使うとのことでした。

コタツはやぐらの上に布団を被せ、この上に甲板を置く、というスタイルが一般ですが、発注者はそうではなく、あくまでも座卓様の構造体にヒーターユニットをぶら下げるという構成を望まれていたのです。

私は腰が悪く、長時間の正座も、胡座もできず、根を上げてしまうところですが、その若さには嫉妬してしまいます。

クラロウォールナットのこたつ、天板
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コロナ対応の迷走、あるいは《人新世》の時代相

中国大陸内陸部の武漢を発生源とするCovid-19、新型コロナウイルスの発覚から1年余り経過し、今では世界全ての大陸で人々に襲いかかり、猛威を振るっている。

1年で最も人の温かさを感じ、生きる歓びを共にするはずの正月休み。今年は孫との戯れも、友人らとの酒食も断たれ、鬱屈としたスタートを強いられている人も多いと思う。

私は父と兄の位牌を護ってもらっている隣町の実家に足を運び、仏前に座る程度でそそくさとステイホームへと舞い戻るという味気ない新年の始まりだった。

現在、北半球ではウイルスの活動が活発化すると言われる冬季でもあり、このコロナウイルスを迎え撃つ人類にとっては初めての経験となる。

そして米国では1日あたり4,000名を超える人々が死に追いやられているという。
この数字は2001年9月11日のWTCなどへの同時多発テロの際の犠牲者(約3,000人)を超える死者数だ。WTCテロは1度きりだが、今はこれが昨日も、今日も、明日も・・・毎日同じような死者数が堆積していく。

昨年の夏頃、トランプ大統領は、米国のコロナウイルスによる死者はベトナム戦争の犠牲者の数を超えるかも知れない、と嘆いていたが、いやいや、現時点ですらその数字(約10万人)を数倍上回り、第二次世界大戦(1941~1945年)の4年間における戦闘による死者数29万1557人(退役軍人省の発表)を超え、やがては50万人に達する勢いである。何という悲劇の時代だろうか。

これを世界に目を転じれば、Covid-19による全世界の累計死者数はついに200万人を越えたとの報があったばかりだ。(日経

(全世界のCovid-19感染状況は Worldometer に詳しい)


日経新聞より

わが国においても、昨年末から感染陽性者の数は急拡大し、日本政府は遅ればせながらも大都市圏を中心に、2度目の緊急事態宣言を発した。

半年後には1年延期となった2020東京五輪の開催が控えていて、組織委、主催都市の東京都、そして日本政府は開催強行を前提としているところから、この緊急事態宣言の発出は何としても避けたかったのだろうが、感染状況の実態は隠しおおせる一線を越え、陽性確認者数は指数関数的に伸びる一方で、科学者ら専門家、そして何よりも日々、重症患者の急速な増加を目の前にし、必死の医療措置を施す医療現場からの悲鳴にも似た要請に渋々応えざるを得なかったというのが真相のようだ。

追記:2021.01.16
米紙NYTは「東京オリンピック開催の望みは薄くなった」との記事を発信。

同時にBloomberg紙も同様の主旨で記事を配信

菅首相は2月7日までの緊急事態宣言発出の1月間で感染を抑えると豪語しているようだが、日本独自のコロナ対策とされてきたクラスター対策ではまったく追いつかない市中感染の蔓延では、この豪語もウイルスからはせせら笑いで迎えられているのではないだろうか。

生物でも無機物でも無い奇妙なウイルスにはそうした意志など持たないわけだが、しかし自己複製を目的とするウイルスにはヒトの願いなどおかまいなく振る舞うだろうから、「1月間で感染を抑える」とする菅首相のさほど根拠のあるものとも思えない頼りない願望は、果たして1月後の結果が吉と出るのか、残念ながら私は悲観的だ。

また多くの人にとり、この年末年始は1年のうち、もっとも他者との濃厚接触が盛んになる時期であって、その数週間前に前に発出されるなら一定の効果は望めただろうが、師走の「勝負の3週間」などとする掛け声も弱々しく響くばかりで、何らの有効な手立ても施されること無く年末まで推移し、その結果、ついには大晦日には東京都の感染確認者数が1,300名を超えるに至り、新年を迎えるという経緯だった。

しかし、感染者数、死者数の指数関数的な上昇を迎えてからの緊急事態宣言の発出となり「先手 先手で…」との冷笑とも含み笑いとも知れぬ首相の物言いとは逆に、いかにもトンマで、後手後手の誹りは免れない状況となってしまった。

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