工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

蕎麦はまだ 花でもてなす 山路哉

蕎麦の花
タイトルは芭蕉の句。
蕎麦の産地は信州、北関東、と相場は決まっていると思っていたら、山路ならぬ自宅から数百mのところで栽培していた。
1月ほど前に気づいていたのだが、花のきれいな時期は既に終わり、ところどころあの特有の三角錐の形状をした実を結びつつあった。写真もしたがって白さが薄い。
蕎麦の花2この畑は蕎麦体験教室という蕎麦打ち愛好家のためのもののようだ。
知人の数人が蕎麦打ちをかなり本格的に学び、また楽しんでいるようで、ちょっとした大人の趣味として人気があるようだ。
だが、ボクはしない。したいとは思うけど時間的余裕、他、事情が許さない。(Pizzaは打ちますが…)
近隣に2軒、贔屓にしている蕎麦屋があり、時間と懐の余裕がある時に食べに出るが、ボクが貧乏していることを知ってか知らずか、いつも盛りを多めにしてくれたり、デザート(蕎麦饅頭)を出してくれたりするので、控えめに出掛けることとしている。

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20世紀陶芸界の鬼才 加守田章二展

加守田章二展
陶芸家、加守田章二が49才で亡くなって22年。白血病での夭逝だ。生きていれば72か。
現代陶芸を代表する作家の一人だが、ボクは晩年の華やかな加飾の器を思い浮かべてしまうが、今回180点もの展示作品の中にあって、前半の益子時代、「高村光太郎賞受賞」以前の須恵器風、あるいは灰釉のものに目を奪われてしまった。
中には釉薬を掛け本焼きしたものを、あえて剥ぎ落とし、素焼き部分を露わにしたもの(壺1967)などに魅せる風情にも見入ってしまった。
もとより個展ごとに様々な華やかな作風を見せる独創性豊かな世界にはただただ圧倒されるばかりだが、これもしかし前述の益子時代の須恵器の研究、灰釉などに見せる基礎的な技法をしっかりと確立していた人ゆえのものであったことを感じさせられた。
加守田章二全仕事
加守田章二全仕事
表層の装飾の華やかさというものが、ディテールの精緻な技法と釉薬の重層的なアンサンブルの結果であると同時に、実は全体のフォルムの造形美と一体的に構想されていることではじめて成立しているのだと言うことに気づかされた。
全体のフォルム+精緻なディテール。これが有機的に結合している。
晩年の作風に至る1970年頃の「曲線彫文壺」シリーズにはこれを意識的に表現したものだろうと思うが、晩年のいわゆる彩陶といわれる作風にはそうした意識をむしろ後景に退け、より洗練された芸術として花開かせたものと思わされた。
あまりにも早すぎる病死であったが、もしその後に陶芸活動をしていたとするならば、どのような作風を確立したか見てみたいと、ファンならず慨嘆してしまう。

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本日 イベリア半島で日食(金環食)が観測される !

日食
突然ですが、本日日本時間16:30頃から日食(金環食)が観測できます。
観測できる場所はヨーロッパ全域、アフリカのほぼ全域、中東などです。
今更もう間に合わない。そうですね。
しかしこの日食をマドリッドからWebで中継するサイトがあります。
◆ LIVE ECLIPSE 2005
マドリッド上空が晴れであることを期待しましょう。

ブログ「工房通信 悠悠」の使い方、楽しみ方についてのご案内

2005/10/02初稿、2010/11/19更新

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by/artisan

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快適的作業季節到来 ! 矧ぎ作業、ちょっとその前に…

鉋がけ
空は快晴、工房の湿度計は50%あたりを指してる。木工屋にはサイコーの季節到来だ〜っ。
写真は現在進行中のブラックウォールナットの座卓の天板部の鉋がけ作業。良質な厚めの板を再製材して真っ二つに割り、2枚矧ぎで構成(いわゆるブックマッチという奴)。
再製材してからしばらく環境に放置し、シーズニング。
これをそれぞれムラを取り、自動一面鉋盤という機械で厚みを決め、数日前に矧いだものだ。
ここで1つ、技法についての情報を。
圧締を加えた矧ぎ作業を終えて、接着力が十分に発揮され、解放まで要する時間は接着剤によって異なるが、数時間から1日位だろうか。
ボクのところでは大鹿の「PIボンド」というものを使用しているが、数時間で圧締を済ませることができるようだ。
しかしそうした短時間で圧締を解放できても、そのまま削り工程に進むのは問題がある。

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「思いやり パッシング運動」

秋の全国交通安全運動週間期間中ですね。(9/21〜)
今日は運転免許の更新のための講習で地元の警察署に出掛けた。
講習担当の講師は恐らくは県警交通課の職員が退職後「安全協会」などに所属して職に当たっているのだろうが、眠さを堪えるのが難しい講義だった。
安全運転への専門的知識はおありなのだろうけれど、講師としての指導力にはいささか疑問を呈さねばならない。
ただ1点。目をぱちくりさせられることがあった。
現在、静岡県警では「思いやり パッシング運動」というものを実施しているのだそうだ。
俳優 藤岡弘さんを起用して静岡県限定のCMもやっているらしい(ボクはほとんどTVを観ないのでこのCMは観たことがない)。
県下の皆さんご存じでしたか?

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「イサム・ノグチ展」

モエレ沼公園を観てきた。
と、言いたいところだけど東京都現代美術館「イサム・ノグチ展」での模型の方だ
イサム・ノグチの展示会としてはボクはかつて東京国立近代美術館での「イサム・ノグチ展(回顧展)」(1992)以来だ。…13年も前か。
あの時も「エナジー・ヴォイド」に迎えられ、その力強い造形と有機的なフォルムに圧倒されたのだったが、今回は、東京都現代美術館という新しい拡がりのある空間に設置されて清生としていた。(東京会場巡回の前の札幌芸術の森美術館では池の湖面に置かれたようだ)
やっぱ、この花崗岩の彫刻がサイコー。
他にも92年の時とは異なる作品も多く持ち込まれていて、大変見応えのあるものだった。
ブランクーシの影響を包み隠さず表現した若い頃の作品から、また晩年の独自の洒脱な造形のものまでイサムの足跡をたどる展示内容になっていた。

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今日の工房から

テーブル部品
時にはお仕事の様子も取り上げねばまずい。(_ _ )/
写真は「ネストテーブル」の天板を除く全パーツ。
1Set、3台。これが5Set分。
加工が終了し、仕上げにかけられる前のスナップ。
手前から…、天板吸い付き桟、脚(柱)、畳摺り、貫。
それぞれサイズが3種。
まずこれらを仕上げ、サンディングした後、天板の仕上げと進んで、組み立て、というステップなので、もうしばらくかかるかな。
ボクの仕事は木工職人としても早い方と自負している。
プロ意識を持った職人として鍛錬してきたつもり。

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木工機械ワークショップ

今日の拙房は知人木工家、デザイナーが4人ほど集まり、機械の研修会場に相成った。
対象とした機械はピンルーター(大型のルータマシーン)。
各々、キャリアを積んだ木工家の方々を対象としたものなので、かなり実践に即した内容で解説させていただいた。
基本的にはピンルーターの切削能力、その汎用性の多用さなどに重点を置いたもになった。
ピンルーターを日頃から多用しているボクとしては、以外にも多くの木工家がこの機械を導入していないという現状を訝しく思っていた。
ルータマシーンへのあらぬ誤解(危険な機械、量産家具向け etc)、その能力への軽視などを払拭してもらい、ぜひ日々の木工加工作業の向上を図ってもらえればという一念で対応させていただいた。
作成したレジュメには

  • 「手作り」というドグマ、陥穽に陥ってはならない
  • 生産性の向上と加工精度の向上は工房運営を助けるだけではなく、デザインの自由度を高める

とした。

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木工機械の刃物について

手押し鉋
写真は手押し鉋盤と、その刃物。
今日は新たな作業に入る前に、機械刃物を交換した。
さて木工機械の刃物の材質についてはいわゆる工具鋼といわれるものが用いられるが、これも様々な材種があることは良く知られている。
刃物としての条件は以下のようだろう。

  1. 靱性が高い(粘りがある)
  2. 高い摩擦熱に耐えられる
  3. 硬度がある
  4. 刃先が鋭利に研ぎ上がる

現在では木工機械の刃物は「高速度鋼(JIS記号=SKH○)」と、「超硬合金(JIS記号=G2、D1、D4など)」の2つがほとんどだろう。
鉋、ノミなどに用いられている「炭素工具鋼」は硬度における耐熱性が低く、高速回転する機械用刃物としては不適だ。
対し、高速度鋼は高温(600℃位まで)になっても軟化しないので機械用刃物として用いられてきた。
さらに「超硬合金」の耐熱性はとても優秀であるため高速での切削加工が可能になり、「高速度鋼」にとって変わられつつある。

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