ミズメのベンチ

制作までの経緯
ベンチは私の制作対象の中では決して多くはありませんが、それでも過去、10台近く作ってきているでしょうか。
今回制作したTop画像のものは同一意匠のものとしては2台目になります。
最初のものはWebサイトに掲載している(こちら)です。
このページにも書いたのですが、座板を円弧状にデザインし(ソラマメを長手方向に伸ばしたイメージ?)、これに合わせ、笠木も同じく円弧状に曲げているわけですが、この笠木は正面からも上部からも円弧状に成形され、その加工工程では大変苦労したものでした。
たぶん、もう2度と作りたくない意匠のものだと考えていたほどのものです。
ところが、これと同じものを作って欲しいとの依頼が飛び込み、いささか心中慌てました。
その理由には2つほどあります。
私としてはこのデザインは独立後 間もない時期の未熟なデザインということで、気恥ずかしさ満載なものであり、また前述の円弧状に加工する工程の難易度の問題がブレーキになります。
もし制作するのであれば、せめてディテールにおいて、あるいは全体的にもブラッシュアップさせた意匠で作りたいとの思いがあり、(こっそりと 苦笑)新たな設計プランを提示したのでした。
ところが、それらの作為はすべて見破られ、全く同じデザインでなきゃダメ、との厳しい注文。
その後何度かのやり取り、および現場見学などを経て、最終案へと絞り上げたものでした。
結果、大いに喜んでいただき、多くの汗も報われという次第。

上の画像は顧客のリビングに納まったベンチです。
タンノイのスピーカーでクラシックを聴くことが楽しみだと仰るN氏、このベンチが届くのを心待ちにしていたようでした。
遠方の方でしたが、制作途中の段階で工房にも見学に来られ、最終的な打合せを経て、完成に漕ぎ着けたものでしたので、愛着も十分のようです。
さて、以下、製作上のいくつかのポイントについて紹介します。
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