工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

測定具、スケールの悩み

家具制作に限らずもの作りには測定ということは欠かせない要素だろうが、今日はこの測定で迷うことがあった。
家具パーツの総長さを決めるための横切り丸鋸盤での切削過程で、あらかじめフェンスに貼り付けたスケールを基準にカットしようとしたのだが、どうもこれがうまくない。
ステンレススケールで寸法を確認すると微妙に差異が出るのだ。
はて?。
複数のステンレススケールで測定を重ねると、やはり1番長いスケール(2m)の目盛りだけがおかしい。少し長めになってしまっている。
約1mで0.3mmほどもの差異が出ている。
何〜だ、その程度?と思われるかも知れないが、木工に於いてこの差異は無視できない。
そもそもこうした市販のステンレススケールにも長さの許容差というものはあるし、季節によっての膨張、圧縮という変位もあるだろう。
そこでJIS規格を調べると、次のようだ。
■ 金属製直尺のJIS規格 JIS1級 B7515 – 2005
長さの許容差(単位mm)*温度20℃を基準とする
・500以下  :±0.15
・500〜1,000:±0.20
・1,000〜1,500:±0.25
・1,500〜2,000:±0.30
つまりボクが許せないと考えている誤差は、JIS においては許容範囲を少しはずれる程度ということになるらしい。まぁ、それでは仕方ない。かなり使い込んでいるしね。
ただ600mm、1,000mm、2,000mmと較べてみて、2,000mmだけが長く測定される、ということは、やはり熱膨張が影響していると見るべきかも知れない。
ステンレススチールは熱膨張率は高いというからね。
(残念ながらこのステンレススケールにおける熱膨張率についてのデータは取得できないでいる)
さらにこれはどうだろう。
うちではスケールは工房の柱にぶら下げているのだが、この管理の仕方に問題があるのか、ないのか。長時間のぶら下がりが自重で伸張するということは考えられないのか。どうなのだろうか。ふむ ??。
しかし重要なことは必ずしも絶対的測定値が問題ではなく、相対的寸法の方だろうから、スケールにも誤差がある、あるいは発生する怖れが常にある、ということを念頭に臨むことでさしあたってはクリアできる問題だろう。
どなたか、こうした情報に詳しい方がいればご教示いただきたいと思う。

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