工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木材加工におけるノギス

木工加工でノギスを用いる意味について

私はたとえ有機素材を対象とする木工にあっても、その制作過程における基本的なスタイルにはプロダクト的な思考が欠かせないと考えています。

もちろん、木工製品の評価や魅力というものは意匠であったり、フォルムであったり、素材感であったりと、工業製品には無い美質や感性に訴える領域が重要であることは言うまでもありません。

構想から設計段階においては自身の信ずるフォルムを練り上げ、あるいは美質の追求をとことん行いつも、しかし具体的な設計においては、そうしたプランを木工加工プロセスへとロジカルな思考で落とし込まねばなりません。

なぜなら構築的な性格を持つ木工、機能性をも求められる家具においては加工精度の高さは所与のものでなくてはならないからです。
そうした必須の条件を満たしてはじめて、目的とするフォルムを生み出し、ねらった美質も醸されてくるというわけです。


ここ数回にわたって展開しているノギスによる枘の計測という状況を事例として、具体的に考えてみましょうか。
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《小型ノギス》木工加工向けのカスタマイズ

ノギスの先端・ジョーのカスタマイズ化

木工作業における小型ノギスですが、使い始める前のカスタム化について少し触れておきましょう。
小型ノギスを木工加工作業で用いる場合、買い求めた時の状態では使い勝手は良くありません。

木工作業における小型ノギスの用途も様々です。
その中でも部材断面の寸法を計測するケースが多いと思いますが、次いで多い測定対象は枘加工での枘の寸法ではないでしょうか。

そこでここでは枘の寸法を計測する際のノギスについて考えて見たいと思います。

丸鋸昇降盤での枘加工のような事例では、カットした鋸のアサリ部位にノギスのジョーを挿入し、その厚み、幅などを計測することがよくあると思います。

枘を加工し終えれば、厚みも幅も容易に測定できますが、加工途上では鋸を入れたアサリ幅の溝(2.2〜3.0mm)があるだけで、ここにノギスを挿入して計測しようとしても、そのままではノギスのジョー先端はアサリ溝幅より大きいために挿入できません。

そこでこの丸鋸による切削で付けられた溝に挿入可能なところまでジョー先端を切除せねばなりません。

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OEMでも ちょっと意外なクォリティだった《小型ノギス》


画像の説明(上から)

  1. 200mm仕様のちょっと大型のノギス
  2. 150mm仕様の標準サイズのノギス
  3. 100mm仕様の小型ノギスA(Bad)
  4. 100mm仕様の小型ノギスB(Bad)
  5. 100mm仕様の小型ノギスC(Bad)
  6. 100mm仕様の小型ノギスD(Good!)

ノギスは木工に限らず、精度が要求されるモノづくりの作業においては欠かせない大切な計測器です。
150mmほどが計測できるサイズのものが一般的ですが、木工でのホゾ加工などではポケットサイズの〈100mm〉という仕様のものが何かと好都合なものです。

オンラインでもホームセンターでも数種の小型のノギスが市場展開されていますが、その多くはバーニア目盛りが打たれたスライダーと呼ばれる可動部分の上下のパーツは“ネジ止め”になっているものが主流になっているかと思います。

これがいけません。
やがてはこの小さなネジは緩み、目盛り精度が崩れ、さらには脱落して使用不能になってしまうこと屡々です。

木工職人歴ン十年の間、お釈迦にしたポケットノギスの数、たぶん2桁にもなるでしょう。
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天板止め コマ金具(オリジナルな クランク型金属製)の頒布

前回紹介したクランク型金属製のコマ金具ですが、いくつかの問い合わせがありました。
その多くはこうした金具は市場には出回っておらず、入手できないものか、といったものです。
確かにあらためてググってみても、ヒットするのはこのようなクランク型のものは前回記事で紹介した小さな米国製のものしかなく(国内での販売は無いようです)、国産では皆無です。

そこで、私の手元に若干の余剰もありますので、希望の方に頒布させていただきます。

数に限りがありますので、予定数に達した場合、先着順で締め切らせていただきます(このBlogで告知します)

《コマ金具》

  • 素材:鋼鉄製
  • 仕上:GB色メッキ
  • Size:25×35 2t 木ねじ下穴;5×15 mm
  • 縦、横 2種
  • 頒布の単位:縦、横 ともに50個単位
  • 頒価:1個、60円(税込)、送料別途(ゆうパック料金)

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天板止めコマ金具

キャビネット、テーブルなどの天板を駆体本体、あるいは脚部に固定する方法はいくつかありますが、皆さんはどのような方式で固定されていらっしゃるでしょうか。

私は寄せ蟻や吸い付き桟などを使う場合もあれば、一般的にも良く使われる〈コマ止め〉を使ったりします。

先頃、当地の家具屋、木工家など、数社がまとまり、1つのコマを家具金物屋に製造依頼し作ったところなのですが、今回はこれを含めたコマ金具の紹介です。

これらはありふれた既知の情報でしかないかもしれませんが、Blog読者の中にはポンッと膝を叩くほどの新発見があるかもしれません。

今回のコマ金具リスト

写真右から

  1. 平板
  2. L型金属
  3. クランク型金属(米国の市販)
  4. 木製(自作)
  5. クランク型金属、縦、横(今回製造したカスタムメイド)

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ブラックチェリーのエレガントなデスク(続

チェリー、エレガントデスク

今回のブラックチェリーのデスクですが、少し制作プロセスなどの要点について記しておきます。

いくつかの点において、ユニークな設計、特異な仕口もあるところから、多少は有用かと思います。

あらかじめポイントを絞れば以下のような内容です。

  • 甲板の納まり
  • 中央部の吸い付き桟を兼ねる仕切り板
  • 吊り桟(妻手側 上下の桟の機能)
  • 〈天秤差し〉の抽斗

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ブラックチェリーのエレガントなデスク

Cherry_elegantdesk01

左右に小さな袖を持つ、やや大ぶりのデスクです。(1,630w 790d 710h)
全ての部位を1本の丸太原木から吟味し付くし、贅沢に木取りしたものですので、質感など統一感にあふれた仕上がりになっています。

左右に抽斗の袖をぶら下げ、中央に薄い抽斗を設けたシンプルな構成。
左右の抽斗は内寸は310mmほどと、ほぼ標準的な横幅を確保し、細かな文具を整理できる既製品のトレーがジャストフィットするサイズになっています。

また左右の抽斗は比較的深く設計しましたが、トレーを用い内部を2段に使えるよう左右の側板に細い棚受けを埋め込んであります。

甲板の奥行きは760mmほどありますが、2枚矧ぎの構成。製材された隣り合わせの板を木表で矧いだ構成です。
見え掛かりではその厚みはわずかに12mmしかありませんが、内部にもう15mm入り込んでいて、実際の厚みは27mmです。

引き出し部位も上端にあえて白太を残していますが(左右、中央ともに1枚の板から裁断したもの)、甲板も前後に同じように少し白太を残す木取りにしています。
色調のコントラストでのアクセント効果といった意味合いがあります。
チェリー エレガントデスク2
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SSL 対応(Webサイトのセキュリティ強化)

猛暑が続いていますが、みなさま、お変わりありませんか?
住まいではエアコン漬けで凌ぐとは言っても、作業場では扇風機だけですので、たまりませぬ。

木工で特に困るのは、塗装前のサンダー仕上げを終えた素材に、額などからしたたり落ちる汗が付着する場合ですね。
仕方がなく、アイロンで乾燥させ、再度サンダー仕上げとなるわけですが、どうしてもムラになりがち。

立秋を越えたとは言うものの、ホンモノの秋が来るのを待つばかりのartisanですわ。

さて今日はインターネットアクセスに関わる話題です。

What’s SSL(Secure Sockets Layer)?

多くの方々がインターネットにアクセスする時代になってるとはいえ、このSSLは必ずしも認知が広まっているとは言い難い。

ただ、本年7月からGoogleが開発運用しているブラウザ・Chrome では、クレジット情報など秘匿性の強い情報の有無に関わらず、HTTP接続というだけで警告表示されるようになってきていることに気付かれた方もいらっしゃるでしょう。

私が設置運用しているこのBlogおよび公式サイトではネット販売しているわけでも無いのですが、“このサイトは“危険ですよ!”などと警告されるのはたまりませんので、遅ればせながら、SSL化の作業をしたところです。
これからはは全て、常時 暗号化されたものになりますので、安心してアクセスしていただけるというわけです。
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ClaroWalnutの李朝棚

主要な部位にクラロウォールナットという稀少材を用いた二層の李朝棚です。

私はこれまでも好んでこうした取り合わせを行ってきましたが、こうした異種な試みが成功しているかどうかはご覧になる人、使い手にゆだねられるということになります。

有難いことに、それまでこの材種を知らない顧客にも高く評価され、喜んでお求めいただいているという事実もありますので肯定的に捉えたいものです。

今日はこのクラロの飾り棚について、その構成と意匠などのご紹介です。
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木工房の工具等の収納を考える(その2)

電動工具の収納:Systainer®対応キャビネット

Systainer®キャビネット

Systainer®キャビネット

このところ、電動工具の活用場面ではFestool社やLamello社の電動工具が主流になってきたこともあり、Festool社の独自開発の工具箱・Systainer®の筐体を収納するための使い勝手の良いキャビネットを1つ作り、ワークベンチ脇に設置しました。
Systainer®については、過去詳述した記事がありますので参照してください(こちら)。

この記事でもで記述してきたところですが、Systainer®はFestool社の親会社を同じくするTANOS社が製造する筐体ですが、欧州ではこれが電動工具の標準的な筐体になりつつあるようです。
ドイツの隣の国、スイスに製造拠点を置くLamello社も同様ですね。
欧米のMakitaなども一部採用しているようですが、なぜか本国日本では見掛けません。
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