工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

新茶の季節

茶畑
週明けからの花散らし雨もようやく止み、春らしい暖かい日和でした。
写真のお茶畑は工房近くの牧ノ原台地のものです。拡大写真のように茶葉はぐんと伸びています。
この「牧ノ原台地」は全国有数規模の一大産地です。
天候回復してきましたので、県下の初摘み(ハウスものではなく、露地もの)は今日だったようです。早いですね。しかし平年に較べると1Weekほど遅いようです。
しかしまだまだ一部の畑だけで、大規模の1番茶の摘み取りは初取引が4月21日ですので、今週末あたりから本格化されるはずです。
新茶
今日はお茶についていくつかの情報と気になることなどについて・・・。
皆さんは普段どのようなお茶を飲んでいるのでしょうか。またギフトなどでも使われることの多いお茶ですが、どのようなものを求められますか。

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木工技法とデザイン

木工芸の特徴の一つとして、素材としての木は他の工芸素材にみられるような可塑性には制約があるということを挙げることができます。
そのために「指物」という呼称にも見られるように、木の造形の多くは「組んで」、「指して」、という組み手、仕口の技術を駆使することによってはじめて成立するのです。日本においてはこうした技術体系が世界に誇るべき物として、古来より歴史的に形成されてきています。
またこの素材は有機素材ということでの特殊性、すなわち木は置かれた環境、また経年変化で、反り、暴れ、伸縮しますので、木工芸はこうした有機素材ならではの困難を解決することなくしては成立しません。これも日本の木工技術体系にふまえるならば、見事に解決してくれます。
従って木工芸を展開するためには、こうした技術体系を豊富に修得し、自家薬籠中のものにすることが、ひいてはデザインの自由な展開を保証するものになるのです。
「デザインの自由な展開」について地元の家具展に出品された水屋を対象に簡単に一つの例証を上げましょう。

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花と子ども達

チューリップ
1Week留守した間にも季節は移ろっています。
桜花は散り始め、替わりに庭のチューリップは大きく茎を伸ばし、とりどりの花を咲かせていました。
宿泊した相模大野も隣の町田も駅とホテルの往復のみだったためでもありますが、全くと言って季節の移ろいを感じさせるものがありませんでした。
花屋の店先を除けば、どこにでもある地方都市の猥雑な商店街があり、朝は出勤へ向かう人の群れと、あくびをしながらの開店準備で忙しい店員。夜は酔客の若い男女が路上を塞いでの喧噪ぶり。
いずれもターミナル駅前ですから自治体も長期的な都市計画に基づいた開発をしているはずですが、そこには商業施設主導の開発があるだけのようです。街の顔である駅前光景も市民主体の街造りのものとは見えてきません。
超近代的ビル群と、数10メートルも離れていないその影で取り残された粗末なバラックのような店舗。いかにも日本の地方都市の典型がそこにはありました。
季節の移ろいは草花だけではありません。
新1年生の光り輝く登校姿も散見されました。4月という月はあふれんばかりの夢膨らませたニューフェースが颯爽と闊歩する月でもありました。息苦しい世情のなかにあっていつも夢を与えてくれるのがこうした子ども達の姿です。

ロッキングチェアと購買客の真意の見極めの難しさ


百貨店の催事にはさまざまな客層が来訪する。
むしろ目的的に来訪する客はむしろ少ないものです。
他の物品の買い物に来た客、あるいはブラリと店内を何気なく物色しに来た客、などといった人の方が圧倒的に多いのでしょう。
「これステキね〜、うちに置きたいわね〜」、「こっちも好きだわ〜、どこで作っていらっしゃるの〜・・・」といったうれしい言葉を発してくれるものの、これは消費衝動への第一ステップではあっても、簡単に次の段階へと進むものではありません。
感嘆の言葉は決して歯の浮いたものでもなく、正直な吐露であったとしても、このことと購入への決断は全く別物。
饅頭や、ジュースを買うこととは違い、家具となりますと価格帯も異なりますし、またボリュームの大きな家具になりますと部屋の置き場所の確保も考慮されねばなりませんし、現有の家具との交換が伴ってくるかもしれません。
なかなかハードルの高い買い物になってきます。
今日は50年輩の女性とそのお嬢さん、そしてフィアンセの3人が少なくない時間を当展示ブースで家具を鑑賞してくれたのでしたが、なかなか興味深い印象を残していってくれました(印象を残してくれただけで、購入してはくれなかったのですが)。

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桜花の魔力

この週末はいずこでも満開の桜の下での宴が華やかに繰り広げられることでしょう。
ということは、百貨店に繰り出す人は少なくなるということ ? 。
この時季になりますと先のエントリーで触れた陶芸家、小川邸での花見がなつかしく思い出されます。
各地から陶芸仲間、ファン、ギャラリー オーナー、工芸家などが様々な料理を持ち寄り、駆けつけたのでした。
ボクはその日の朝はピッツァ生地を練り、いそいそと近くの鮮食店にトッピングを求め参加させてもらい、焼きたてのピッツァを振る舞ったものですが、一呼吸置いて重そうに2人がかりで持ち運ばれてくるのは60cmもあるパエリア鍋でした。
それぞれ数寄者、健啖家でしたので、ボクなどには口にしたことの無いような珍味を持ち寄る人もいて、また何本もの桜がありましたので、各々はそれぞれ好きな場所で舌鼓を打ち、心地よく春の風に揺られたのでした。

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化学物質アレルギー、アトピーっ子への対応

小学4年生の女児を連れてやってきた若い婦人が当ブースに興味を示し、お話しさせていただいたのがタイトルの件でした。
この女児のために机を作りたいとのこと。
条件は化学物質アレルギーなので、全て無垢で、塗料は自然のもの、ボンドもできるだけ使わずに、という厳しいものでした。
実はこの母親自身もアレルギー過敏症とのことで、親子共々に quality of life には苦労されているようです。
そこで提案しましたのが、学習机、という限定的なものではなく、大人になっても使えるスタンダードなサイズに、抽斗、ブックシェルフを付加させたもの。
素材としては合板を用いず、全て無垢材にする。
塗料については・・・

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高級ホテルの旧い設備と百貨店家具販売事情

Blogなどのエントリーもネット接続環境水準によっては不快にもなります。
昨夜のホテルの部屋にはブロードバンドのLANの環境はなく、電話端子からダイアルアップ接続を試みたけども残念ながら0発信が上手くいかないためか接続できません。
やむなく au でのモバイル データ通信でかろうじて接続。しかしメール受信のダウンロードが途中でダウン。15分掛かっても完了しない。仕方なく切断。(翌朝あらためて接続試みると、何と2MBを越える画像データファイル数枚を添付してきた人がいたのでした)。
メール送信者に圧縮しなかったことへの恨み言を言っても仕方ない。
結局このホテルを解約して、隣駅近郊の高速ネットが使えるホテルをあらためて予約して引っ越ししました。
昨夜のホテルは駅から0分、真上に立地しており、部屋は広くて設備も快適だったのですが、残念ですが必須のサービスがなかったので仕方ありません。
フロントに事情をお話ししたところ、「設備が旧くて申し訳ありません。キャンセル料は不問です・・・」と苦笑いで快諾していただいた。
さて百貨店における家具販売はどこも苦戦しているようで撤退も相次いでいるようです。

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刃物研磨に見る職人像

今日は武蔵野地域の百貨店での展示へ向けての搬送、会場セッテイング作業でしたが、昨日とはうってかわっておだやかな晴天に恵まれ、ラッキー 。
会場近隣の小学校では入学式があったらしく、そこかしこに晴れ着に身を包んだ就学児童の親子を見かけた。毎年のことなれどとても微笑ましくこの子達の未来に幸あれと祝福を送りたくもなる。そのほとんどが父親も含めた3人連れであることに気づいたが、あえて会社を休み子供の晴れの席に同席してやりたいという親心なのだろうが、少子化、男女機会均等法、ニューファミリー(旧い言葉ですが)のありふれた姿なのでしょう。
さて、今日は刃物の研磨に見る職人像、という記述です。
ボクが工房を構えたのは郊外の田園地域の一角でしたが、偶然にも隣家が刃物の研磨業を営んでいる職人さんだったのです。

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金具の悩み LAMELLO SIMPLEX


先のエントリーに繋がる金具のこと。
今回はある顧客の要望で、ベンチとスツールを結合させて広く使いたい、との要望をどう叶えるのかの解決方法です。
簡便に、しかもタイトに、という条件でいろいろ考えたあげく、編み出した手法がこれ。
以前、ちら、とご紹介しました。LAMELLOの機能部品(HAFELEではコネクターと称し、LAMELLOではSIMPLEXと称するようです)を使ったものです。
これは15年ほど昔にこの「LAMELLO TOP10」を購入した時に1個サンプルとして付属してきたものですが、頭の隅っこに置いてはあったものの、使う機会がないまま経過。
この度晴れてそのチャンスが訪れたということで、その意味においてはありがたいお客ではありました。

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鉋くずと職人の技量

鉋くず
写真は作業台の前の鉋クズです。汚くてスミマセン。
木工所の手作業場では親方はじめ弟子達がアテ台(作業台のこと)を並べて仕事をしています。
そこへ訪ねてきた人がそれぞれの仕事ぶりをしばらくながめてから、アテ台の周りに山のような鉋屑を多く出している職人を指して、親方に一言。「あの職人は1番良く仕事をしてるね・・・」と。
親方は困ったような顔でつぶやく「あいつは鈍くさいやっちゃ」
「?、はぁ。」
「いやね、仕事が上手くて速い奴はあんなに鉋くずは出しゃしないものよ。余分な仕事をしてるだけさ」

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